2017年1月11日

第2庁舎建設に関するプロセスと問題点

昨年度の金沢市議会の2大ニュースといえば、政務活動費問題、そして、第2庁舎の建設に関して話題になった上空通路、地下通路、議場、議会棟の移転に関するものではなかったかと思います。今回は、第2庁舎建設に関するプロセスと問題について、まとめておきたいと思います。今年度、実施設計の予算が執行されておりますが、御存知の通り、第2庁舎の中心的存在だった議場、議会棟が建設されなくなったため、大きく設計変更する必要が生まれています。

まず、この第2庁舎建設に関して、私自身、疑問に感じる点が多く、これまで幾つかの角度から議会で一般質問をしてきました。平成27年9月議会では、本庁舎の耐震化工事が平成26年に終えたばかりである点から(概算で議場、議会棟部分に耐震化のため4億5000万円を使っている)、また、執務室が手狭という理由についても、本庁舎建設当時の議員定数44人から、現在は38人に減っており、つじつまが合わないことに関して質問しました。

そして、12月議会では、第2庁舎建設の意見集約後に、国が方向性を示した石川中央都市圏と第2庁舎建設の整合性が取れるのか。中央都市圏の中心都市金沢の庁舎機能や庁舎の場所等も含め再度議論すべきではないか。65億円かけてつくるのであれば慌てずじっくり取り組むべきでは、という質問。

そして、28年3月議会では、第2庁舎内に計画されている危機管理センターよりも、地区ごとに防災をテーマにした市民協働のまちづくりミーティングを開催し、住民から要望のあったものをすぐ予算化し、避難計画も住民で作成した東松島市の例を取り上げ、優先すべき危機管理のポイントを宮城県の石巻日日新聞への視察の経験から質問しました。

さらに6月議会では、地方創生は地方の子育て環境の充実が要であるという視点から、田上小学校などマンモス校に対する対策、大徳地区の第3の小学校の建設の早期実現が第2庁舎建設より優先事項では、と質問致しました。

そして、9月議会では景観審議会建物部会で、上空通路が了承されたことを受けて、消防の観点から上空通路で問題はないのか、との質問をしました。

各質問の詳細に関しては、金沢市議会の議事録を御覧ください。

まず、この第2庁舎建設と、金沢市議会の関係から。

市長がこの建設を推進すると決めたのは、平成25年12月16日に議会からの要望があったからです。要望書を提出したのは当時の横越議長と清水副議長。そして、通常、何らかの施設を市が建設する際、執行部が予算や内容を検討し、決まったものを議会に上程し、議会で議論した後に議決を採って、採用されれば執行に移る、という流れになる。

しかし、当初の要望書に、議員が最も関与する議場、議会棟の移転も含まれていたため、議会で特別委員会を組織し、議会としての要望も提出しよう、ということが決まった。通常、特別委員会の意味は、議員の勉強会というもので、1期2期議員が委員長、副委員長を務めるのが通例。しかし、第2庁舎に関しては、意味合いが違うということで、各会派の代表クラスの議員で構成された。特別委員会の委員長、副委員長も、人数が一番多い第1会派の高村市議、第2会派から森市議が選出された。(副委員長は途中で中西市議に代わる)当時、一人会派であった私を含め3人の議員はこの委員会に所属することはできず、結論のみを報告される立場であった。(市議会が会派政治と言われる所以)そして、平成27年9月に特別委員会として市長に要望書が提出された。その中で、当時の特別委員会は地下通路の建設を要望し、市長もこれを受理した。

その後、一人会派の3人(玉野市議、宮崎市議、わたくし熊野)で会派創生かなざわを結成したことから、平成28年3月より第2庁舎等建設特別委員会に会派から一人の参加が許され、私が選任された。

そして、6月の委員会、本会議で松井純一市議から地下通路に対する懸念が示され、議論の結果、平成28年9月に第2庁舎と本庁舎を結ぶ通路は上空通路で、という要望書が特別委員会から市長に提出された。途中の経過として、松井市議の懸念を受けて執行部が示した通路案は、地下通路案(10億円・うち移設補償3.9億円/◯)、上空通路案(5億円/◎)、地上通路案(0.1億円/✕)の3つであった。

そもそも、なぜ本庁舎と第2庁舎に通路が必要なのか?という疑問が素朴に湧き上がるが、議員が議会棟から本庁舎に移動する際の利便性(雨、雪対策)と、本会議、委員会等で執行部の局長、課長等が資料などを持って移動する際の雨雪対策というものだった。この点に関し、私達の会派は、反対の立場で一致。各委員会、本会議などで意見してきた。

そして、先程の執行部の提案に、【評価】という欄に、◎、◯、✕が記されていた事そのものも、誘導的で疑問が残る。

しかし、数の論理で、特別委員会は上空通路で要望書を提出し、翌日開かれた景観審議会建物部会でも了承された。しかし、この建物部会での議事録が出されず、どの様な論議で了承されたかは謎のままだ。

このまま、上空通路で建設に移行されるのかとあきらめモードに入ったところで、ある会で、柿木畠商店街での通路説明会で殆どの人が反対していた、という情報を戴いた。柿木畠の人達は雨が降っても雪が降っても傘を指して動いているのに、なんで、議員たちだけ、5億円もかけて通路が必要なのか、しかも、重要伝統的建造物群保存地区の西惣構堀の上を通して、という意見が大勢とのこと。そして、2社の新聞記者にその話を伝えた所、某地元紙が数日後、一面に大きな記事を掲載してくれた。さらに、開催された景観審議会では、殆どの審議委員が反対、懸念を示され、一気に流れが変わった。

市長も上空通路を諦めることを示し、景観審議会の説明を受けた市議会、特別委員会でも地下通路、上空通路を含め通路の撤廃、そして、議場議会棟の移転も撤廃を決めた。

そして、本日、改めて第2庁舎等建設特別委員会が開催された。

執行部から、21世紀の重要行政課題を担う市民に開かれた庁舎を目指すとし、議会、議場の移転撤廃に伴い、教育委員会、環境局、農林局、調査統計局、福祉指導監査課、行政委員会などの入居、予算は建築、設備、外構を合わせ、53.6億円におさめたいとの説明があった。すり合わせなどは次回。

残念なことに、私もこの会議に参加したが、通常の委員ではなくオブザーバーとしての参加。理由は昨年末、宮崎議員が一人会派届けを提出したため、私達の「創生かなざわ」が会派要件を満たさなくなったためだ。(現在は玉野市議と私のふたり)政治の世界は、一寸先は闇、とはよく聞くものの、ようやく会派としての流れを理解したところでのこの状況は、非常に痛いものがある。しかし、市民目線の政治を貫くことしか、私が市議になった意味はない。数の論理より市民に寄り添う開かれた政治を目指し、これからも頑張ります。皆様からのご意見、お待ち致しております。

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