近江町市場開設300年

今年は、金沢市が誇る、市民の台所「近江町市場」開設300年の節目の年です。

一言で、300年と言っても、長いと言われている江戸時代の期間が265年間なので、その長さは相当なものです。それよりもさらに長いことに思いを馳せてみると、それはまるで、1本の大樹のように思われます。

そして、このたび、「金沢市民の台所 近江町市場三百年史」が近江町商店街振興組合によって編纂されました。

自分も、1998年7月3日から、2019年8月25日まで、21年と少々、近江町市場に店を構えていたので、市場に対しては並々ならぬ思いがあります。

2008年からいちば館が建設されるとき、劇団アンゲルスの本庄さんのインスピレーションで演劇の制作の話をいただきました。タイトルは「武蔵戦隊近江レンジャー」。自分が脚本と主演、本庄さんが演出を担当しました。

脚本を書く際、最もこだわったのは、市場の原点についてでした。そして、たどり着いたところは、市場とは「生きる」人々の原点である、ということでした。

キーワードは、(イキイキ/生き生き/活き活き)

売り手も買い手も生き生きと輝いていることが、市場としての必要条件という点にこだわって書きました。

三百年史を紐解いてみますと、その歴史は決して平坦なものではなく、様々な大波小波を乗り越えてきた歴史でした。

そしてこれからも、市場で働く皆さんが生き生きと訪れる人を迎え、イキの良い食材や、活きの良い掛け声で誰彼ともなく生き生きさせることが、近江町市場の次なる節目への道に繋がっていくのではないかと思っています。

令和のコロナ禍は、あらゆる業種、職種に影響が及んでいます。しかし、300年の歴史を有する近江町市場が、この状況を、どうやって乗り越えていくのか。また、どうやって乗り越えようとするのかは、他の多くの人々が注視し、その方策は、彼らにとって、重要な意味があるように思えています。

最も雄弁な語り手は、一言も発しない歴史であるから。