議員の仕事の一つに、調査研究があげられます。毎月支給される政務活動費をそれに充てます。いくつもの勉強会がある中で、今回、初めて清渓セミナーに参加しました。場所は東京新宿の青年会館。昨日は、NPO法人暮らしネット・えんの小島美里代表理事の「現場から見た介護保険制度」、千代田区立麹町中学校長、横浜創英中学・高等学校長を務め、現在は、内閣府規制改革推進会議専門委員の工藤勇一教育アドバイザー、さらに、岡山県の奥正親奈義町長の講義を聴かせていただきました。
小島美里先生は、訪問介護の現場の課題から、院内集会に対する各政党の参加状況など、幅広い角度から介護保険の課題をきめ細かにご教授いただきました。また議員に対しても、現状を厳しくチェックすることの重要性や、執行部と一体となって国に対し、処遇改善を求めることの大切さを説かれました。
工藤勇一先生は、生産性が上がらない日本の課題は、そのまま教育現場の課題が原因との見解で、戦後大きく方針転換した欧米の教育のあり方と、明治維新以来、当時の欧米的な教育をずっと根本的に継承している日本の教育のあり方の違いを示し、子どもの数が減っているのに、不登校をはじめ様々な問題が噴出している日本の教育をどう変えれば、未来が開けるのかを分かりやすく、しかも、実際の経験をもとに話されました。アメリカでは、保護者の子どもに対する虐待などに対し、厳しい法律があリます。しかし、学校については、子どもを学校に行くことを義務付ける法律はありますが、学校についての定義は緩く、自宅で学ぶ、いわゆるホームスクーリングも認められています。フリースクール的なものももちろん認められています。しかし、日本では、教育基本法の第1条で、学校が定義され、それ以外は学校と認められないところから、子どもたちの学びの選択肢が限られ、一丁目1番地から息苦しいものとなっています。そこで、工藤先生は、実際の現場にて、服装や髪型などの自由化など、自分で考え、自分で責任をとることから始めました。そして、主体性と当事者性を育てることを第一として、学校教育そのものをこれまで日本で行われたものとは真逆のスタイルを推しはかりました。すなはち、先生は教えない。宿題もない。そんなスタイルです。結果として、生徒の成績は飛躍的に伸び、人気のなかった学校に多くの希望者が集まるようになりました。ご自身が校長を勤められた麹町中学校や横浜創英中学校・高等学校で実証されました。生徒が、自分で考え、自分で行動するために必要な環境を整えたのです。先生からのこれをするように、との指示はありません。受験というシステムがある以上、一律の授業、一律の進行はある程度、必要かもしれません。しかし、それを根底から変えても、実は、それ以上の結果が生み出せるとのことでした。目から鱗でした!
続く第3講は、岡山県奈義町の奥正親町長の少子化対策について。自衛隊の演習場があるとはいえ、交通アクセスなど条件の悪い山間の町で、高い出生率で全国的にも注目されるのは、このままでは、持続できなくなるかも、という危機感をベースにした町長の少子化対策への熱い思い。そして、少子化対策は、結果として高齢者対策にもつながることを町民に丁寧に説明し、介護保険料の増加等にもきめ細かな対応をするなど、町民ひとりひとりに寄り添う姿勢に納得しました。子育て支援の予算を捻出するための工夫にも本気度を感じました。
2日間に渡るセミナーですが、2日目は、次回ブログにて。