今朝、昨晩NHKクローズアップ現代+で放映された協同労働についての番組に賛同するご意見をメールにていただきました。
協同労働は、昨年末に労働者協同組合法として法制化されましたが、基本的に、働く人一人ひとりが出資し、皆で経営方針を決め、皆で働く、というスタイルの法人(事業体)です。法制化により、代表者以外、健康保険や雇用保険の適用が明文化されました。
通常の会社は、株主が出資し、経営者が方針を決め、それに従って労働者が働きます。
つまり、協同労働は、そのスタイルとは、全く異なり、自分たちで考え、話し合いに話し合いを重ね、実際にやってみるのです。
番組では、これまで仕事を、他人ごととしか考えられなかったのに、はじめて、自分ごととして実感できた、という感想を多数紹介しています。
そして、協同労働は、エッセンシャルワークといわれる(子育て・介護/清掃/物流/農業関係)が中心で、実際に1千億円規模の仕事で10万人が働いています。コロナ禍でも、仕事量はむしろ増えていると言われています。
また、番組内で、明治大学の大高先生は、コロナ禍は、これまで見えなかった、敢えて目を背けていた問題が可視化された。非正規、フリーランス、不安定で労働者法や社会保障が手薄だった働き方が特に女性、若者、高齢者に驚くほど広がっており、世代を超えた問題になっていることを指摘されています。
さらに、そのような状況でも広がる協同労働は、働く意味の空洞化が進む中、自分たちで出資し、皆で話し合って経営に主体的に関わっていくスタイルが、社会に役立ついい仕事をしたいと思っている人の感性を掴んだ、と言われています。
そして、協同労働が、世界において、EU、南米を中心に30カ国以上に広がっており、実際、労働環境の改善にも繋がっている例も紹介されました。
アメリカ、ホームクリーニング。タクシー運転手(アプリ使用)インドで貧困層の女性が美容ケアの協同労働をはじめ、EUで、フリーランスの演奏家などです。
大高先生が、指摘された、暴走する資本主義の歪みについても深く共感しました。暴走する資本主義の歪みは、最も弱い人のところにあらわれる。人との助け合いの関係も商品化がすすみ、お金を持っていない人は助けを求められない。孤立して、ものも言えない状況が進んでいく、というご指摘です。この問題はしっかり改善しなければなりません。
また、広島市の雇用支援課が、7年かけて、協同労働の取り組みを支援した実例も紹介されました。60歳以上の方が協同労働で事業を立ち上げると100万円を上限に半額補助すること。専門のアドバイザーの派遣などです。
その結果、7年で、地域の住民ならではの発想で、25団体300人の様々な仕事が生まれたとのことでした。
そして、大高先生は、協同労働について、農業/再生可能エネルギー/福祉分野のますますの発展と、都市への一極集中防止につながるとしています。
最後に、協同労働が何を私達に投げかけているのか、については、
労働と生活、自分と他者の関係は切り離せない、自分の生活はあらゆる他者の営みによって成り立っている。命の循環といってもいいが、その中で私達の暮らしは成り立っている。それを、忘れかけている。そのような想像力を取り戻す契機として協同労働は特別の意味を持っている。どのような組織であっても、働く意義を感じて、人間らしい働き方ができる、そんなことが当たり前のように求められる社会になることが大切です。
と述べられています。
広島市の事例のごとく、金沢市でも、協同労働の取り組みについてもっと踏み込んでいくべきではないか、と感じました。
皆様のご意見をお寄せください。
※エッセンシャルワーク;社会に必要不可欠な仕事のこと